partita 〜 世界演舞

第五章 楔の抜き取られた門(1)


 まっすぐに伸びていく閃光。
「――― 人は苦難の坂を越え、美しい翼を手に入れるのか」
 淀みなき空には、一つの星が輝き出す。それは善なのか悪なのかもわからぬまま。
「運命を弄ぶ、現の道化たちが蠢きだした」
 不安という名の霧が、辺り一帯を覆い尽くす。すべては御方の望むままに。
「足音が聞こえる。我らの行方を嘲笑うものの足音が……」
 吹きすさぶ風のように。吹き上げる炎のように。
「……強くあらねばならぬ者。汝の名は ―――」
 荒ぶる心、猛る魂。根差す真なる想いを胸に抱きし者たちよ。
「道標は、彼の者の頭上に煌めく」
 悪意に潜む、一片の強靱な意志。貫き通すは、汝らの眠れる熱き奔流。
「何にも勝るもの。それは揺るぎなき信念。己が力を見極める瞳」
 流れゆく河のように。時は姿を変え、形を変え、生あるものに襲いかかるだろう。そして動かざる大地のように。汝だけがこの地に留まり、運命を揺るがす一振りの刃となろう。――― 罪は消えぬと囁きながら。



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